花も嵐もふみこえて、美しく人生を生き抜いてください

 ストーリー

大手商社でエリートコースをわき目もふらず走る正岡秀清(50才)。昇進の辞令をもらい、喜び勇んで帰宅する。が、カルチャースクールでダンスのインストラクターをしている妻・律子(45才)は留守、長女・明日香(17才)とは玄関先ですれ違い、長男・秀一(14才)だけは家にいたが、さっさと夕食を終え自分の部屋に入ってしまう。一人っきりで淋しくビールを飲む秀清。

そこに鳴り響く一本の電話。声の主は、今治に住む秀清の姉・節子(53才)からだった。「お父さんが、買い物の途中で家に帰れなくなってしまったのよ…。」

松山空港に出迎えてくれた幼なじみ・秋山民雄(48才)の車で実家に着く。そこで、父・秀臣(81才)と対面した。「おう、秀清か。猪食うか?」
近所の人たちと、カラオケを歌って盛りあがっている、いたって元気な秀臣の姿に拍子抜けするのだが、その翌日、秀臣は散弾銃を持って山へ入っていった。

徘徊が始まったのだ。

くたくたになって秀臣を探し回った日の夜、実家では叔父の善吉(70才)が秀清に言った。「今治へ帰って来い。それが長男の義務じゃ。」
「自分たち町のもんが面倒みるけえ」と言ってくれた民雄に後を任せ、秀清は帰京するのだった。

家族の関係は冷え切っていて気持ちはすれ違うばかり。そこにまたもや今治からの電話が鳴り響く…。

厳しかった父に反発を覚えながらも、秀清は一人今治に帰る決心をする。

汗だくになりながら、徘徊する秀臣を探し回る日々が続く。
ある日、秀臣と二人で出かけて行った、戦時中の記録映画の上映会の場所で、村上貫太郎・和歌子(43才)と出会う。少し呆けた義父の世話を続ける和歌子との出会いは、心身共に疲れ切った秀清にとって、一服の清涼剤のようであった。
 


ぜんそくを治すために東京からやってきた秀一とともに、町の人たちに支えられながら、秀清は父と向き合っていく。